金融包摂 2020 2 9

書名 2049年「お金」消滅
著者 斉藤 賢爾  中公新書ラクレ

「浦島太郎の竜宮城」
 映画の「スターウォーズ」を見ていて、
不思議に思ったことはありませんか。
 主人公が、廃船から取り外した部品を売って、
お金を得ていた場面が不思議に思わなかったでしょうか。
 帝国軍もレジスタンスも、宇宙空間で戦い、
しかも、ワープ航法で銀河の果てまで行くほど、
科学技術が発達しているのに、
まだ、お金を使っていたとは驚きです。
 科学技術は、高度に発達したが、
お金は、進化しなかった。
 主人公は、電子マネーどころか、
銀行口座も持っていなかったのです。
 日本にいると、誰もが銀行口座を持っていますが、
発展途上国に行くと、そうではありません。
 「金持ちが銀行口座を持っている」という感覚で、
庶民の多くは、そんな贅沢なものは持っていないという状態でしょう。
 しかし、携帯電話(スマートフォン)は持っている。
見渡すかぎり、草原や砂漠だから、電線もない。
だから、固定電話が普及する前に、スマートフォンが普及してしまった。
 当然、銀行もない。
銀行のようなものは、首都に行けばあるらしい。
 しかし、先進国のように貨幣経済をやってみたい。
すると、どうなるか。
 先進国のどこかで発明された、
ブロックチェーンによる暗号通貨を使うようになる。
こうして、銀行が関与しない貨幣経済が成立する。
 もちろん、先進国の中央銀行も、
「デジタル通貨」は研究しています。
 すると、どうなるか。
この本から引用しましょう。
 たとえば、日本ならば、
スマートフォンに「日本円アプリ」さえ入れておけば、
個人が、日本銀行のシステムを直接通して、
送金、預金、融資など、
お金にまつわる「すべて」を個人ができてしまいます。
(引用、以上)
 つまり、銀行が金融を独占する時代は、終わっていたのです。
未来の歴史家は、こう書くでしょう。
「銀行というシステムがあったのは、20世紀までだった。
21世紀前半も、まだ銀行はあったが、それは残務整理のためだった」
 「金融包摂」とは、この本によると、
銀行口座を持たない人でも、金融サービスを受けられるように、
「金融の文脈の中で社会的弱者を包み込む」という意味を持つという。
 最近、先進国どころか、発展途上国でも、「Fintech」の進歩は著しく、
特に、アフリカ大陸の「Fintech」は、めざましい進歩だった。
それに比べて、日本列島は、まるで「浦島太郎の竜宮城」のようです。

観光銀行 2019 5 5

銀行業務は必要だが、今の銀行は不要だ。
(ビル・ゲイツ)

書名 銀行員は生き残れるか
著者 浪川 攻  悟空出版

 農家によっては、農作物の市場価格が下がると、
市場へ出荷をやめて、
「観光農園」を始める農家があると聞いたことがあります。
 さて、この本には、興味深いことが書いてあります。
要約すると以下のとおりです。
 2023年、東京オリンピックが成功裏に終わって3年が経過した。
訪日外国人は、減るどころか、ますます増え続けた。
 数年前までは、日本製品を大量に買っていた外国人は、
やがて、日本での体験を重視するようになった。
 両親や祖父母から昔話のように聞いた、
「昔は、商品を買う時、現金で払っていた。
財布から紙幣というものを取り出して商品を買うと、
お釣りが、紙幣やコインでもらえた」という体験が、
日本で体験できるとSNSで拡散していた。
 日本にやってきた外国人は、
最初は、ATMという機械で、
「現金というもの」が出てくることに感動して、
それが飽きてくると、外国人は銀行の窓口に押し寄せるようになった。
 外国人にとっては、
銀行員が紙幣を扇型にして数える光景が、
まるで「手品」を見るようで目を丸くして眺めてしまう。
こうして銀行が「観光地化」するのには時間がかからなかった。
(引用、以上)
 今でも、こんな話を聞いたことがあります。
中国人が日本にやってきて、最初にやるべきことは財布を買うことである。
 極限までキャッシュレス社会が進んだ中国においては、
両親から「昔は、買い物をする時は、財布を使った」という昔話を聞き、
「私も、そういう体験がしたい」と思っても不思議ではありません。
 この際、世界のスピードについていけないならば、
それを逆手にとって、あえて伝統を守って、「観光地化」する方法があります。
「京都」も「小江戸の川越」も、昔が懐かしいから、観光客が押し寄せるのです。
いっそのこと銀行も観光地化すれば生き残れます。






























































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